※2019年追記。カフェ・ド・ランブル店主の関口一郎氏は2018年3月にお亡くなりになりました。数十回は行ったであろうランブルですが、亡くなってからはまだ訪れていません。間違いなく味は変化しているでしょう。いつか確認してみたいと思います。
※2020年追記。ランブルにやっと行ってきました。
カフェ・ド・ランブル〜CAFE DE L’AMBRE〜
カフェ・ド・ランブルは銀座にある老舗の喫茶店。珈琲好きの間では知らない人はいないお店です。吉祥寺もか、バッハと並んで珈琲の御三家の一つです。
カフェ・ド・ランブル〜日本の珈琲を語る上で欠かせない名店〜
カフェ・ド・ランブルが創業したのは1948年で、日本の珈琲屋の歴史の中でも最初期のお店です(1911年創業のパウリスタとかもっと古い珈琲屋はありますが)。
数十年経っても変わらず営業していますね。生きる伝説のようなお店。
カフェ・ド・ランブルの味を造り出す店主、関口さん
店主、関口一郎さんの抽出技術はすごい…らしい。飲んだことないです。抽出はもちろんネルドリップ。ネルドリップの人以外には珈琲豆を売りたくないくらいのネルドリップ派。抽出の技術は知りませんが、関口さんは、焙煎は今でも行っています。もう90歳を超えているのにすごい…。そして今のランブルの味は関口さんの焙煎でしか出せないのではないかと思っています。
カフェ・ド・ランブルのブタ釜
焙煎機は、ブタ釜と呼ばれる古いタイプのもの。人によっては、ブタ釜では美味しい珈琲が焼けないっていうけど、そんなことはなく、これはこれで美味しい珈琲だと思います。扱いは難しいらしい。
ブタ釜を使っているお店は、まだ意外とあるけど、直火と半熱風のものがあるようで、ランブルは半熱風(ほとんど熱風と同じらしい)生豆の個性を出すには直火の方がいいが、豆の質が悪くなっている今は、半熱風で焼いた方が美味しく焼けるという考えのようです。
入り口の看板には「珈琲だけの店」って書いてあるだけあって、珈琲に対するこだわりは相当なものです。焙煎機から、ポットから、ネルから、なんでも改良しています。
カフェ・ド・ランブルの内装、雰囲気
ランブルは、知らない人からすると、ちょっと怪しげなお店です。赤いソファーにオレンジのライト、テーブルの真ん中にはめ込まれた灰皿など、まぁ古い喫茶店といった感じですが、独特な空気感が漂っています。雰囲気が良い…って感じではないですね。ただ歴史は感じます。長い年月をかけて堆積したような空気が流れています。
カフェ・ド・ランブルのメニュー
ランブルのメニューは、ブレンド珈琲は
「カフェ・クレーム」普通カップ(ミルクつき)
シングル650円、ダブル850円
「カフェ・ノワール」中カップ(中農、ブラック)
シングル700円、ダブル900円
「ドゥミ・タッス」小カップ(濃厚、ブラック)
シングル700円、ダブル900円
というように分かれています。
リキュールを入れた珈琲や水出しの珈琲もありますし、「ブラン・エ・ノワール」(琥珀の女王)というミルクを溶かしてシャンパングラスで飲む珈琲や、「ランブレッソ」という、低温抽出の濃い珈琲、などもあります。
カフェ・ド・ランブルのオールドコーヒー
そしてストレート珈琲がすごい!まず種類が多く30種類くらいあります。さらに10年以上寝かしたオールドコーヒーというのもあって、中には’70のコロンビアなんてのもあります。40年くらい寝かせてますね。他にも’73年のタンザニアとか’74キューバなんかもありました。中農かデミタスを選べます。無くなるともう2度と飲めない珈琲です。
こんなに長い時間保管しているにもかかわらず値段は安い。1000円を切っていたりします。オールドビーンズには★印がついているのですが、ランブルで言うオールドビーンズは、10年以上コーヒー豆を熟成したものをいうので、★印がついていなくても、エイジングしているものも多数あります。
ストレートコーヒーは、グリーンラベル、オレンジラベル、ブラウンラベル、ブラックラベル、ゴールドラベルと分かれていて、ランクごとに値段が決まっています。ゴールドラベルにあるイエメン、モカマタリのオールドなんて、とても個性的で大好きです。
※ランブルでコロンビア54を飲んだ話を紹介している記事
カフェ・ド・ランブルのコーヒーの味
長期熟成した珈琲豆の味は独特の味と酸味が出て、好みがわかれるところ。劇的においしくなっている…というわけでもないのですが(劇的に美味しいものもあります)、オールドビーンズならではの独特な味わいは、クセになります。初めてランブルのコーヒーを飲んだ時は、すごいコーヒーだなって感じで、決して美味しいとは思わなかったのですが、今はランブルの味がかなり好きです(カビっぽくてあんまりな時も多々ありますが、上手く熟成でき、かつ焙煎がハマった時の味わいはすごいです)
この分かりにくさが、オールドビーンズは美味しくないって言われる所以なんでしょうね。オールドビーンズではないニュークロップのコーヒーも、ランブルならではの個性を感じるので、関口さんの焙煎の作り出す味なんだろうなぁって思います。
関口さんは今のコーヒーは、昔ほどの魅力はないと言います。寝かしておきたいと思える豆がどんどん減っているようで、昔のコーヒーは、豆の個性がはっきりしていたが、今は個性がないとのこと。
コーヒーの個性がなくなってきている印象は、僕も感じるところで、スペシャルティコーヒーの弊害の気もします(スペシャルティコーヒーは好きだけど)
トレイサビリティーやサステイナビリティのしっかりした今のコーヒーの方が質が高いっていう人が多いけど、一方で昔のコーヒー豆の方が美味しかったという人も少なからずいます。
そして僕は昔の方が美味しかったという話が、ただの昔を懐かしむ声だとは思えないんですよね。スペシャルティコーヒーじゃなくても美味しいお店はたくさんあるし。
昔のコーヒー豆がどんなものだったかは、今ではなかなかわからない部分ですが、それを味わえるのがオールドビーンズです。寝かせているので、当時のままの味わいではないですが、思いを馳せることが出来ます。
カフェ・ド・ランブルの店舗情報
住所:東京都中央区銀座8-10-15 SBM BLDG 1F
電話番号:03-3571-1551
営業時間:[月~土] 12:00~22:00 [日・祝] 12:00~19:00
定休日:火曜