スペシャルティコーヒーの淹れ方、点て方、抽出の基本〜フレンチプレス〜

フレンチプレス

スペシャルティコーヒーの淹れ方、点て方、抽出の基本〜フレンチプレス〜

コーヒーショップで飲んだスペシャルティコーヒーが美味しく、家でもコーヒーを淹れてみたい時、一番、そのスペシャルティコーヒー豆の味わいをストレートに感じることが出来るのはフレンチプレス(コーヒープレス)です。

一昔前は、スペシャルティコーヒーはフレンチプレスじゃないと美味しくないと多くのコーヒーショップが口を揃えて話していたものです。

今でこそ、プアオーバー(ドリップ)や、エアロプレス、その他のコーヒー器具のそれぞれの良さが認識されていますが、本当に昔はスペシャルティコーヒー=フレンチプレスの図が出来上がっていました。

他の器具の魅力が再認識されているとはいえ、フレンチプレスがダイレクトにスペシャルティコーヒーの味わいを伝えてくれるのは確かです。

スペシャルティコーヒーを評価するカッピングの味わいと一番近いですしね。

個人的には、スペシャルティコーヒーを購入したコーヒーショップと同じ抽出法を選ぶことを推奨しますが、フレンチプレスではないコーヒーショップのコーヒー豆も一度はフレンチプレスで淹れてみると、そのコーヒー豆の特性を理解しやすいです。

フレンチプレスの抽出方法

フレンチプレスはもっとも簡単なコーヒー抽出方法です。

コーヒー粉をフレンチプレスに入れて熱湯を注ぎ、数分待ってカップに注ぐだけです。

非常にシンプル。標準的なレシピは、

  • コーヒー粉15g(少し粗めに挽いたもの)
  • お湯の量 150cc
  • 浸漬時間3分30秒

といったところでしょうか?(コーヒー粉の量や、お湯、時間は好みで増減してください)

フレンチプレスにコーヒー粉を入れて、タイマーを3分30秒でスタートし、熱湯をコーヒー粉全体にかかるように回しかけます。

30秒ほど蒸らし、残りのお湯も注ぎ、蓋をします。

3分30秒経ったら、プランジャーをゆっくり下ろしてカップに注ぎ完成です。

フレンチプレスは、ペーパーなどを介さないため、コーヒー豆に含まれるコーヒーオイル(旨味)がそのまま抽出されます。

味わいを調整する余地があまりなく、そのコーヒー豆の味が良いところも悪いところもそのまま味わうのがフレンチプレスです。

そのため、もともと素材がいいスペシャルティコーヒーに適した抽出方法とされています。質の低いコーヒー豆を使うと嫌な香味が目立ちます。

フレンチプレスは金属フィルターなので、どうしても微粉が入ります。微粉を少なくするためには、

  • 高性能のミル(グラインダー)を使う。
  • 粗挽きにする
  • 茶漉しなどで微粉を減らしてから抽出する。
  • コーヒーを最後まで注ぎ切らない。

これらのことが大切になってきます。それでも微粉はゼロにはなりません。少し粉っぽい感じが許容出来るか否かで、フレンチプレスが好きか嫌いかが分かれます。

他にも

  • 蓋をしないで抽出する
  • お湯を三回に分けて注ぐ
  • お湯をコーヒー粉に直接注ぐorフレンチプレスの側面に沿ってお湯を注ぐ

などを変えると味わいは変化します(本当はもっと決定的に変化するポイントがありますが書きません)。

昔は良くフレンチプレスは深みがあって、ドリップはあっさりと言われていましたが、逆だと思います。フレンチプレスは浸漬法なので、透過法のドリップのように濃いコーヒーになりません。

浸漬の時間で濃さは調整出来るとはいえ、長い時間にしすぎると濃さよりしつこさが出るだけなので、長くても4〜5分くらいが良いと思います。コーヒー豆の量でも調整出来ますが、あまり多すぎない方が良いと思います(反対にドリップはコーヒー粉多めの方が良い結果になりやすい)。

フレンチプレスの良さはさらりとした軽やかさです。そのコーヒー豆が持っている要素を分解せず、なにも捨てず、美点も欠点も合わせて個性だと教えてくれます。

おおらかで自由な広がりを見せ、その中に複雑な要素が重なり合っています。

(日本の)ドリップのコーヒーが真剣さ、凝縮、まっすぐ、みたいなイメージだとしたら、フレンチプレスは大きさ、複雑さ、ナチュラル感、みたいな感じでしょうか?(プアオーバーはドリップと同じですが、イメージは違い、シンプルな印象。ブライトとかクリスプとかそんなイメージが浮かびます。そのコーヒーショップがメニューにどう表記しているかだけでも味の方向性が見えますね)。

ワインでいえば、ドリップは北ローヌのシラー、フレンチプレスは軽く抽出した南仏グルナッシュブレンドかな?(もちろんそれぞれ色んな味わいのものがありますので、あくまで全体的なイメージです)