スペシャルティコーヒーという言葉は良く聞くとは思いますが、スペシャルティコーヒーとはどんな意味なのでしょうか?
単に美味しいコーヒーという認識でも構わないのですが、少し詳しく知り理解を深めることで、より美味しいコーヒーに出会える確率が上がります。
スペシャルティコーヒーとはどういうコーヒーなのか?
スペシャルティコーヒーはどこで栽培されたのか明確な美味しいコーヒーのことを言います。トレーサビリティはスペシャルティコーヒーにとって非常に重要な要素です。
ただ、出目がわかれば良いわけではなく、その中でもスペシャルティコーヒーとは、カッピングフォームを用いてカッピングを行い80点以上のコーヒーのことです。
コモディティコーヒー、メインストリームコーヒー
昔は単にブラジル、コロンビア、グァテマラ、イエメンなどのように国単位でコーヒー豆を区別していました。
国名だけか、あるいはインドネシア・マンデリン、エチオピア・モカ、タンザニア・キリマンジャロ、ジャマイカ・ブルーマウンテンのようなブランド名が付いている場合があったくらいです。
同じ地域のコーヒー豆は一つにまとめられて、それから国ごとの基準に合わせて、コーヒー豆のランクを決めていました。そのため、農園主はどんなコーヒー豆を栽培しても一律の金額にしかなりませんでした。
また、品質基準も国ごとに異なり、コーヒー豆のサイズや、欠点豆の量、標高など様々でした。
それを新たな統一された基準でコーヒー豆のクオリティを示したものがスペシャルティコーヒーです。従来のコーヒーはコモディティコーヒーやメインストリームコーヒーと呼ばれます。
スペシャルティコーヒーの始まり
スペシャルティコーヒーがという言葉が初めて使われたのは結構昔のことで、1978年、米国Kunutsen Coffeeの代表Erna Kunutsen女史が、フランスのコーヒー国際議会で、特別な地理的環境が生み出す特徴的な風味特性を持ったコーヒーに対して、スペシャルティーコーヒーという言葉で表現しました。
日本のスペシャルティコーヒー
日本でスペシャルティコーヒーという言葉を良く聞くようになったのは2000年を過ぎた頃だったと思います。日本スペシャルティコーヒー協会が設立されたのは2003年です。
スペシャルティコーヒーの初期を支えていたのは堀口珈琲だと思います。他にもスペシャルティコーヒーを提供しているお店や会社があったのだとは思いますが、もっとも影響力があり、声も大きかったように思います。
次いで丸山珈琲を中心とした珈琲の味方塾の名前が目立つようになり、アタカ通商やワタルなどの商社の名前も良く聞くようになりました(いつからスペシャルティコーヒーを輸入しているのかは知りませんが)。
コーヒーの御三家として有名なカフェ・バッハも実は昔からスペシャルティコーヒーに取り組んでいたお店で、店主、田口さんの著書、スペシャルティコーヒー大全は、今なお、スペシャルティコーヒーの基礎を学ぶのに最適な一冊となっています。
初期の頃はホリグチコーヒーのLCFや珈琲の味方塾くらいしか自社輸入でスペシャルティコーヒーを仕入れているお店はなく、商社からコーヒー豆を仕入れていたように思いますが(よく知らないだけでサザコーヒーなどの大きなところは自社で仕入れていたのだとは思いますが)、今は自ら、コーヒー農園に行き、コーヒー豆を独自に仕入れる人たちも増えてきました。
最初はかなり限られた銘柄しかなく、ラインナップを見るだけで、どこのコーヒー豆かわかりましたが、今は沢山の銘柄があり、全て把握するのは困難なくらいです。
スペシャルティコーヒーの味わいの点数評価
スペシャルティコーヒーのわかりやすさはカッピングによりスコアを付け、点数表示するところにあります。SCAAやCOEといった国際機関が定める基準に沿って評価し(この二つは微妙に違う)、100点満点で80点以上のものをスペシャルティコーヒーと呼ぶことが多いです。
カッピングはスペシャルティコーヒーの独特の評価のやり方で、カップにコーヒー粉とお湯を入れ撹拌し、スプーンで空気とともに吸い、味わいを評価する方法です(すごくざっくり簡単に書いています)。
SCAAとCOE
SCAAはアメリカスペシャルティコーヒー協会です。COEはカップ・オブ・エクセレンスの略で、様々な国で毎年行われているスペシャルティコーヒーの品評会です。
国際審査員による評価で点数が付けられ、インターネットオークションで販売されます。COE1位になったコーヒー豆は非常に高い価格で落札されます。
COEのカッピングシートはSCAAのものを改良したものです。日本スペシャルティコーヒー協会であるSCAJはCOEのカッピングシートを基にしたものを使用しています。
スペシャルティコーヒーの評価項目
カッピングによるスペシャルティコーヒーの評価項目は、クリーンカップ、スイートネス、アシディティ、マウスフィール、フレーバー、アフターテイスト、バランス、オーバーオールの8つです。基本の点数として36点はもともとあり、8点満点×8項目=64点を足して100点になります。
クリーンカップ〜Clean cup〜
クリーンカップは、カップの綺麗さです。スペシャルティコーヒーは汚れがなく透明性があることを重視しています。
スイートネス〜Sweetness〜
スイートネスは甘みです。きちんと熟したコーヒーチェリーから作られたコーヒー豆は、しっかりとした甘みを感じます。
アシディティ〜Acidity〜
アシディティは酸の質です。酸味の強さではなく、どういった酸を持っているかです。
マウスフィール〜Mouthfeel〜
マウスフィールは口当たりです。滑らかさ、粘度、密度などを総合的に評価します。
フレーバー〜Flavor〜
フレーバーはスペシャルティコーヒーで、もっとも大事な項目のように思います。ナッツやチョコレート、ベリー系などのフルーツのニュアンス(香りが溶け込んだ味わい)です。
アフターテイスト〜Aftertaste〜
アフターテイストは飲み込んだ後に残る余韻の長さと心地よさを評価します。
バランス〜Balance〜
バランスは安定感、何かが過度であったり、欠けた部分がないかです。
オーバーオール〜Overall〜
オーバーオールは総合評価です。カッパーの主観で評価出来る部分です。
SCAAの基準ではユニフォーミティというカップの安定性の評価もあります。
スペシャルティコーヒーの通販
現在は多くのコーヒーショップでスペシャルティコーヒーを扱っていて、インターネット通販で簡単に購入出来ますが、初めてスペシャルティコーヒーを購入するなら、昔からスペシャルティコーヒーを扱う、記事でも紹介した堀口珈琲や丸山珈琲が良いかも知れません。
堀口珈琲や丸山珈琲を飲んでまずはスペシャルティコーヒーに対する基準を作ってから、様々な他のコーヒーショップのコーヒーを飲むと分かりやすい気がします。