ハーモニーのネルとサイフォンの二刀流

ハーモニー〜HARMONY〜

駒沢大学にあるハーモニー、パッと見はなんてことない小さなコーヒー屋ですが、こだわり満載のお店なんです。

まず抽出法がネルドリップとサイフォンの二本柱(ついでにエスプレッソもあるけど。飲んだことない)。そしてただ抽出法が二種類なのではなくて、それぞれ独自のカラーがあり面白い。

ハーモニーのサイフォン

まずサイフォン、普通はコーヒー粉をロートに入れて加熱して、沸騰した湯がロートに上がりコーヒー粉と合わさるが、ハーモニーはコーヒー粉を最初は入れません。

湯がロートに上がってきてから、コーヒー粉を投入、そして攪拌。少し火を弱めて1分ほど加熱をし、もう一混ぜしてから火を外します。

出来上がったコーヒーは銘柄にもよりますが、淡い色、ワインレッドというか。プレスのコーヒーの水色に似ている。例えばケニアはジューシーな酸が乗っていて旨味を伴って広がっていきます。とっても果実味のあるコーヒー。冷めると味がちょっと変わってしまう印象で熱いうちが美味しい。

サイフォンに関しては僕は特別良い印象を持っていないのですが、ハーモニーの味は美味しい(特別好きだというわけではないが)。これはとてもオリジナリティがあって良い。

ハーモニーのネルドリップ

そして圧巻はネルドリップ。サイフォンは割と浅めの焙煎のコーヒー豆もあるのですが、ネルは深煎りがメイン。

ライトボディ(コーヒー粉18グラム)、ミディアムボディ(コーヒー粉24グラム)、フルボディ(コーヒー粉36グラム)、スーパーフルボディ(コーヒー粉45グラム)と分けられていて、それぞれのカテゴリーで選べるコーヒー豆の銘柄も決まっています(サイフォンも選べるコーヒー豆は決まっている)。

抽出量は銘柄によっても変わるようです。湯温は低めだと思う。しっかり計っています。コーヒー粉はへらを使って山状に盛ります。これも変わっていますね。コーヒー粉の層を厚くしてお湯の移動を長くするためのメソッドです。グラインドは中挽きくらいだが、深煎りは細挽きにするそうです。

そしてゆっくり点滴で抽出します。全体にも湯をかけますが、基本は真ん中一点抽出(粉に触れるくらいの位置から)。まっすぐコーヒー抽出液が通る道を作ります。腕がつるんじゃないかと思うくらい、ゆっくり丁寧に湯をそそぐ姿はちょっと凄い(湯は段々速くする)。特にスーパーフルボディなんて真剣勝負のような気合を感じます。

スーパーフルボディで選べる豆はイタリアンロースト(コロンビア)の一種類のみ1000円。でもこれメチャクチャ美味いです。スーパーフルボディになると湯温は50~60度で温めになります。とても濃いけど柔らかくて優しいコーヒー。刺激もないし焦げ臭さもない。僕が飲んだ深煎りデミタスの中では一番飲みやすいですね。

基本的にネルで点てたコーヒーは柔らかい丸い印象ですが、銘柄によってはなめらかなのはいいけど、変に抜けすぎるというか、つるっと入りすぎて違和感すらある場合があります。もっと引っかかってもいいかなと…(でもこれはすごいことだ)。ボリューム感に欠けるというかね。

ハーモニーのコーヒー豆

ハーモニーのコーヒー豆は、農園名などもなく、国名とロースト度合いを重視しています。味の安定しない農園ものより、味の安定して物を求めているようだ。今のスペシャルティブームの、豆の質重視とは全然違う方向性で、でも味は抜群。焙煎と抽出の魅力を確認させてくれる店でもあります。

ハーモニーの焙煎理論

マスターの黒澤さんは他にも色々と独自の理論を持っていて、話を聞いていると本当に面白い。フォーミュラー焙煎理論とかね。焙煎後のコーヒー豆を急激に冷やさないとか色々と言っていたなぁ。焙煎機はバッハのマイスターだったと思う。

ハーモニー〜ハンドピックのこだわり〜

ピックにもかなり力を入れていて、欠点豆だけじゃなくて、少し色が違うものなども分けている。はじいた豆も欠点豆じゃないのは美味しくないわけではなくて、一緒に焼けないだけで、別に焼いて飲むとそれなりに美味しいとのこと(実際飲ませてもらったことがある。結構美味しい。そのときペーパー(穴を少し大きくした一つ穴)で抽出してもらったんだけど、今にも溢れそうなくらいのコーヒー粉の盛り上がり。ちょっとこれも凄かったな。


ハーモニーは何気にカップを選べるのも良い。昔の喫茶店みたいでね(こういうお店減っているよね)。意外なというか穴場的な名店ですね。

ハーモニーの店舗情報

住所:東京都世田谷区駒沢5-15-14

電話番号:050-3403-0807

営業時間:[月]10:00~20:00 [水~日]10:00~22:00

定休日:火曜