スペシャルティコーヒーのマセラシオン・カルボニック

コーヒー

カーボニック・マセレーションとアナエロビック・ファーメンテーション〜Carbonic Maceration&Anaerobic Fermentation〜

スタンダート・ジャパンに付いてきたバーグ・ウーのコーヒーを飲んだ時に、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップのことをちょっと調べてみたらすごく面白い。みなさん本当に様々な取り組みをしているんですね。知らない間に劇的にコーヒーは進化していました。

最も興味を惹かれたのが精製プロセスの多様化。2019年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップを見ると、多くのバリスタが、新しい精製プロセス、カーボニック・マセレーションあるいは、アナエロビック・ファーメンテーションで精製したコーヒー豆を使っていました。

カーボニック・マセレーション‥ワインでいうマセラシオン・カルボニックですね。今やコーヒーでもマセラシオン・カルボニックを行う時代なのか‥。

カーボニック・マセレーション〜Carbonic Maceration〜

マセラシオン・カルボニックは、ヌーヴォーでお馴染みのボージョレで良く使われる発酵方法で(または様々な地域のヴァンナチュールにも使われる)、ぶどうを潰さずにタンクに入れて、重さで下の方のぶどうが自然に潰れ発酵が始まり、二酸化炭素が生成されます。

二酸化炭素でいっぱいになったタンクの中でぶどうは無酸素状態に近くなります。ぶどうは無酸素に近い状態にすると果粒中の酵素が働き、フルーティさが増し色素もしっかり抽出されます。反面、タンニンは少ないフレッシュな味わいのワインが生まれます。

コーヒーにおいてはどのような効果があるのでしょうか?ワールド・バリスタ・チャンピオンシップで使用された中には普通のカーボニック・マセレーションとセミ・カーボニック・マセレーションがあります。

ワインでいうセミ・マセラシオン・カルボニックは自ら発生する二酸化炭素ではなく、二酸化炭素を充填する方法です。マセラシオン・カルボニックを簡略化したやり方です。

コーヒーで二酸化炭素を充填しない方法が可能なのでしょうか?コーヒーチェリーが発酵を始めれば自然に二酸化炭素は発生しますが、果肉の量などを考えても微量な気がします。全てセミ・カーボニック・マセレーションなのではないのかな?(出来るのかもしれませんが)

ワインと違い、液体ではなく残ったコーヒー豆に効果をもたらせなくてはなりません。実際にカーボニック・マセレーションをすると味わいは変化するようなので、コーヒー豆自体はどのような反応をしているんでしょうね。

アナエロビック・ファーメンテーション〜Anaerobic Fermentation〜

アナエロビック・ファーメンテーションは、言葉通りに捉えると嫌気発酵なので、カーボニック・マセレーションもアナエロビック・ファーメンテーションです。

ただコーヒーの世界でアナエロビック・ファーメンテーションという場合は、ハニープロセスで除去されたミューシレージと精製前のコーヒー豆を合わせて、カーボニック・マセレーションと同じく密閉されたタンクで嫌気発酵させて、ミューシレージの成分をコーヒー豆により強く付ける方法のようです。

場合によってはフルーツのピューレなどに漬け込んでフレーバーを増すようですね。そこまで行ってしまうと、別ジャンルな気はしますが‥(フレーバーを付ける付けない以前に強く個性的なフレーバーのものが高く評価されてしまうのは問題だと思います。もちろんこれはこれで良いものだとは思いますが)


アナエロビック・ファーメンテーションやカーボニック・マセレーションを調べると、ミューシレージの酵素反応によって発生する炭酸ガスとか、酵母の働きによってタンク内に二酸化炭素を中心としたガスが充満する、などという説明を見かけましたが、これは間違っているのではないかと思います。

酵素反応で二酸化炭素が発生するわけではなく、発酵あるいは二酸化炭素を加えることで酵素反応が起きるが正しいと思います。

酵母の働きによって二酸化炭素が発生するのは正しいですが、二酸化炭素が充満するほど発酵が進まない気がします。しかもこれはセミ・カーボニック・マセレーションの説明で読んだので、それは完全に間違いですね。

とはいえ、僕はコーヒーの新しい精製プロセスの知識は全然ないので、農園に行って実際に見てみたいです。

まずはこういった精製プロセスのコーヒーを飲むのが先かな?普通に流通しているのか、それともまだ特別なものなのか。

他にもウォッシュドプロセス後に綺麗な水に浸けてから乾燥させるソーキングと呼ばれる方法もあるようですし、ソーキングを2度行ったり、ハニープロセスの後にソーキングを行うなどの方法もあるようです。クリアになるようですね。

色々飲んだことないものがあるなぁ。気にして探してみようかな。


※何度かアナエロビックのコーヒーを飲む機会があったので紹介します。