世界一美味しいコーヒーの淹れ方を読んだ

世界一美味しいコーヒーの淹れ方

WBC(ワールドバリスタチャンピオンシップ)の第15代チャンピオンである井崎英典さんの著書、「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」を今更感はありますが読んでみました。

この本は基本的に初心者向けの内容だと思いますが、所々面白い部分がありましたね。

井崎さんの考え方は結構好きです。チャンピオンですがカッコつけたところもないですしね。

「世界一美味しいコーヒーに正解はありません」と冒頭に井崎さんは書いています。ワールドバリスタチャンピオンシップなどの世界大会における抽出のトレンドも毎年変化があり、数年前に素晴らしいとされていた味わいでさえ、現在では違和感を覚えることもあるとも書かれています。

毎年変化があるのは当然としても、数年後には違和感さえ感じてしまう味が最高だと評価されるというのは、不思議さを感じてしまいます。

新しい香味を造りだして、インパクトを与えて消費して次に行くというような印象。本質的な質というものを考えていないトレンド重視な世界に思えてしまいます。

10年後に振り返ってみると‥とかだったらまだわかるんですけどね‥

井崎さんは本質的な正解と嗜好的な正解は別物と言っています。品質には正解がある、という本書の言葉自体には同意しますが、国際的に認められる基準が本質的な正解だとは僕はまったく思っていません。

品質的な間違いは存在しますが、それは世界基準からずれたものが間違いではないと考えます。

そもそもワインの表層的な部分を参考にして考えられたコーヒーの世界基準は、足りない部分が多すぎるというのが個人的な見解です。

まぁでもこの話は置いておいて、僕が井崎さんに共感できない部分は、本質を今の世界基準に置いている一点のみです。なので書いていることのほとんどに共感出来ます。

コーヒーの味わいの話に移ります。

コーヒーの味わいを形作る要素を人間に例えて紹介しているのは面白いですね。分かりやすい説明です。

自分好みの味わいを探す方法として、フレーバーではなく味わい自体で探るというのも同感です。まぁ「最初は」というカッコ付きではありますが。

ワインでも香りはかなり重視する人が多いですが、まずはその液体自体の性格を見るのが大事です。

井崎さんは、味わいとは基本味として認識できる味と言っています。結局苦いか酸っぱいかだよね、とお客様に指摘されたというエピソードが書かれていますが、確かにコーヒーに置いては、まずは苦いか酸っぱいかで良いのかも知れません(僕はワインでは形、動き方が大事だと思っていますけれど)

コーヒー初心者がコーヒーを選ぶ時、苦味が好きなら焙煎深め、酸味が好きなら焙煎浅めを選びましょうというのは、基本中の基本ですね。今はあんまり深いコーヒーないですけれど‥

加えて井崎さんは自分好みの味わいを捉える判定表を作り活用しています。横軸を酸味と苦味、縦軸を濃度の高低で4分割した表です。

焙煎が浅いか深いかと、濃度が濃いか薄いかで分けています。そしてこの組み合わせによって後口が顕著に変わり、キレ、コク、スッキリ、まろやかと分類しています。加えて、それらの真ん中にあるバランスという分類もあります。

キレは酸味と濃度の高さ、コクは苦味と濃度の高さ、スッキリは酸味と濃度の低さ、まろやかは苦味と濃度の低さと、井崎さんは定義しています。

言葉の意味合い的に不思議な感じがしますが、そう定義しているというだけなので気にしないでおきます(後口なんですね‥)

焙煎度合と濃度で好みを探る方法はシンプルで良いと思います。

自分好みのコーヒーに出会うために最も重要なことは自分好みの味わいを言語化できるか否か、だと井崎さんは言っています。そのための根幹となる味わいの指標です。

フルーツ系、フローラル系はキレ、スッキリで感じやすく、チョコレート系、ナッツ系、スパイス系はコク、まろやかで感じやすいとのこと。

フルーツは酸味から連想しやすいフレーバー。なので焙煎度合の浅い豆。フローラルな香りを連想させる化学物質は、揮発性の高い物質であるとされ、焙煎が深くなればなるほど感じにくい。焙煎度合が深くなることで生まれる苦味や香ばしさからチョコレートやナッツのような香りを感じ取りやすくなる。インドネシアのコーヒーはスパイス系の香りがよく引用される。生産処理方法の影響、とのこと。

美味しいコーヒーを抽出するための第一歩は素材選び、というのは多くの方が言っていることですね。どんな高性能の炊飯器を持っていたとしてもお米の品質が悪ければ、品質以上の味わいを引き出せないと例えています。

これに関しては大筋は同意しますが、素材が多少悪くても、それ以上の味わいに調理で生まれ変わらせることは出来ます。そもそも良い素材だけを集めると美味しいものが出来るというのは浅はかで、その作りたいものに合った素材を集めないといけません。単純な質の話ではないかな。

という僕の考えは置いておいて‥では、どうすれば良い素材を選べるか。

1、豆の詳しい情報が書いてあるか。

2、焙煎日が記載されているか?

3、店頭で豆は入れ替わっているか?

高品質なコーヒー豆は基本的に売り切り。シングルオリジンは、その年に収穫されたコーヒーがなくなれば終わり。収穫期は生産国によって違う。中米のコーヒーが店頭に並ぶのは夏頃から秋頃が多い、とのことです。

次にコーヒー産地をタイプ別に分けています。

バランス系。南米、ブラジル、コロンビアなど。甘さと酸味のバランス。ブラジルは酸味は穏やかで丸みのある味わい。コロンビアは軽やかな酸味と甘味のバランスが絶妙。より酸味が抑えられた方が良い方はブラジル。バランスは重要視したいけど酸味もほしい人はコロンビア。

キレ、スッキリ系 中米(パナマ、グァテマラなど)軽やかで爽やかな酸味とフルーティ感。

中米は総じて標高の高い地域が多い。品種も色々とあって、ひとまとめにしにくいが、キレ、スッキリ系の酸味に特徴のある味わいが多い。軽やかな味わいや柑橘系の爽やかな酸味は中米の特徴。酸味に伴うフルーティさ。

キレ系。アフリカ(エチオピア、ケニアなど)。芳醇で濃厚な香りと際立つ酸味。ケニアはキリッとしたキレのある酸味と柑橘系やベリー系を連想させる香り。

エチオピアもケニアも酸味に特徴があり、ボディは軽やか。エレガントでフルーティな香りと酸味を楽しみたい時はアフリカ。

コク系。東南アジア(インドネシアなど)。ボディと苦味の重厚な風味。インドネシアは力強い味わい。アーシー、重厚感のあるボディ。程よい苦味。深煎りにも適している。

ガツンとした苦味とコク、エキゾチックな香り。

やっぱり国の違いはしっくりこないですね。何がどう違ってどういう差異を生み出しているのか、今ひとつわかりません。

ワインの勉強がひと段落したら、自分でももう少し考えてみたい分野ではありますが、当分先ですね。コーヒーに力は割けないので誰かの教えてほしいなぁと。

とまぁ、まだ全然本の途中ですが、長いので一旦この辺で終わりにします。