宮崎屋球三郎商店

宮崎屋球三郎商店〜安いワインの熟成〜

ワインの飲み頃は、国やタイプ、格付けなどで大まかに決まっていて、基本的に安いワインは早飲みですよね。何十年もの熟成に耐えることができるワインは、グランクリュクラスの偉大なワインというのが一般的な考え方だと思います。


僕も基本的にはそう思うのですが、ワイン好きの中にはリーズナブルなワインを熟成させて楽しむ人たちがいます。蔵出しワインという札を付けて10年くらい熟成させたワインを扱っているワイン屋さんは、ちょくちょく見かけますが、そういう熟成させたリーズナブルワインは他にも色々とあり、成城学園前にある宮崎屋球三郎商店は扱っているワインの半分くらいは熟成ワインの気がします(ここは焼酎とワインのお店)。


ワインの担当者の方が熟成ワインが好きということで、扱っているようですが、初めて知った時は、あまりの安さに驚きましたね。中には10年くらい熟成して1000円台とかもありえる。
何度か飲んでみたところ、結構味が抜けすぎちゃっていて、美味しくないわけではないですが、これって確実にピーク過ぎているよなぁっていう印象でした。


あるとき、宮崎屋球三郎商店のワイン担当者に、このワインって味抜けちゃってません?って聞いてみたら(よく聞くよね。そんなこと…)、あ~、そういう人もいますね、とのこと。
なるほど、この抜けた味が好きなんだってその時に理解。こういう世界があるんですねぇ。
逆に普通のワインは味が強すぎるって言っていました。


そして色々と飲んでみると、中には味が抜けすぎていない美味しいワインもありました。ちゃんと味があって、かつ熟成された深みを感じるものがあります。この分野は面白いかも。


リコルクしてないもの、リコルクしているもの、樽で何十年も熟成して最近瓶詰めしたものなど、一口に熟成ワインといっても色んなタイプのものがあります。担当の方は実際にフランスなどに行って味を確認しているようですが、いざ日本で飲んでみると全然味が違うこともあるようです。シャトーオーバレード’83(2080円)なんて、もろに材木のような異常な香りがしたのですが、担当の方も日本で飲んで驚いたようです。現地では美味しかったのに…と言ってました。


個体差も大きいようで、熟成ワインはリスクが高く、扱うお店側もとても大変そうです。好きだから出来ているんでしょうね。


まぁ色々と飲んで、多少の魅力はわかってきたわけですが、それでもメチャ好きってわけではないです。でも古い年代のワインを手軽に飲めるっていうのはとても勉強になる。この間、かなり冒険だったのですが、シャトークロドサルプ1970(12800円)を購入。


クロドサルプはサンテミリオンのシャトーですが、今まで聞いたことない。40年前のワインが1万円ちょっとで買えるのはお徳ですが、実際美味しいかは未知数。でもいっちゃいました!(一人で買ったわけじゃないです)


さすがに滓がすごく、パニエ抜栓してデカンタージュ。ただでさえピーク過ぎてるっぽいのにデカンタージュするのは気が引けますが、これは仕方ない。


このワイン、香りがすごい。日本酒の古酒のような香り。あと醤油。麹の香り。かなり強いです。色調はさすがに70年、深いレンガ色です。味わいは、う~ん、やっぱりピークは過ぎているなぁ。でも好きな人はこのくらいが好きなんでしょうね。


いや、70年でよくここまで味が残っているというべきか…。メルロっぽくない。なめらかな質感ではないしね。でもしっかりと果実味が残っているのは本当にすごい。
でもこれ飲めて良かった。こんなワインがあるんだなぁ。

宮崎屋球三郎商店の店舗情報

住所:東京都世田谷区成城6-9-1 五和ビル

電話番号: 03-3483-1114

営業時間:平日 10:00 ~ 21:00 / 日・祝日 10:00 ~ 20:00

定休日:水曜