飲んだ古酒リスト
最近飲んだワインのこともすこしだけ。
グリュオラローズ78
ボルドー格付け2級のグリュオラローズの70年代のもの。値段がかなり安く、ボトルを光に当ててみると、とても色が抜けていたので心配でしたが、全然美味しく飲めました。ピークは過ぎていましたが、ちょっと抜けすぎているくらいがまたいいなって思えた。最初はカビの香りがして、あーって思ったのですが、それは時間を置くと消えて、最終的には素晴らしい香りに。木、鉛筆的な香りからフルーツの香りに。最後はプラムなんかを詰めたジャムのニュアンスに醤油、紹興酒的なものが合わさった感じ。
サルジェ ド グリュオラローズ97
そんなに古くないけど、グリュオラローズのセカンドも飲む。これも美味しかったですね。
レオンスボッケ・マルサネ89
これもお手ごろワイン。でもちゃんと美味しく、この安さでこの味が楽しめるならお得だね。余韻はレーズン。熟成感がちゃんとある。
レーヌペドーク・サヴィニー・レ・ボーヌ59
抜群の美味しさ。想像を超えました。50年前で、さらに村名ワインでこの美味しさ。グランクリュだとどうなるんだ?59はブルゴーニュの当たり年。だからこの美味しさなんでしょう。
まだまだ力強さもあり、10年とか全然持ちそうです。若いピノノワールは酸が強すぎる感がありますが(それでも美味しいものは美味しいけど)、穏やかに優しい酸に変わっていて、その分、甘み果実味が際立っています。
果実味が残っているのもすごいわ。味わいの奥行きも半端ない。そしてスムースな当たり。コルクがキレイに輝いていて、香りも梅干やプルーンの赤ワイン煮のような感じでいい。フレッシュなピノの華やかさはないけど、落ち着いた大人の女性の魅力だね。嫌な味が皆無でワイン好きだったらダレでも美味しいっていうと思う味。透明感のある水色もすごいね。これはスイスのお金持ちの地下セラーに眠っていたものらしく、その方が亡くなったため処分されたもの。なので格安(といっても高いよ)。リコルクもされてないです。レーヌペドークはネゴシアン名。
ボーセジュールベコ88
サンテミリオンのグランクリュであるボーセジュールベコ。とてもタンニンがあり舌にへばりつく。味自体は抜けすぎている感があるのに、酸や渋みなどが突出していてイマイチ。堅いとかそういう感じではないので変化も期待できないなぁなんて思っていたのですが、変化しました。
味が開くとか乗るではなくて、余計な味がとれてバランスがよく美味しく飲めるように。渋さも減少。こういう変化もあるのね。ボーセジュールベコは一時格付けが下がっていて、ちょうどその頃なので、あまり質がよくないのかなぁと思っていたのですがそんなことない。ただ値段と考えると若干高いか。
ラヴィユ オーブリオン80
味わい自体はさっぱりしていて抜けた印象なのですが、香りの豊かさに驚かされる。ソーヴィニヨンブランの底力を感じます。フレッシュさはなく、古木、森、石油、葉巻、タル香、パン、もう色々と複雑に絡み合って一つになっている。ふくらみがあって、熟成のすごさを感じさせる香り。このワインの後に色々とワイン飲んだけど、ラヴィユの香りの余韻が残る。寝ててもふっと立ち上ってきたくらい。
ジョルジュノエラ・グランエシェゾー89
さすがジョルジュノエラ。最初はまだ堅かったですけど、もう開いたらどうなるんだろうという期待が持てる。事実時間とともに開いていき、非常になめらかで、果実のニュアンスもありエレガント。先に書いたサヴィニーレボーヌとは同じピノながらまったく違うね。格的にはこちらの方が全然上だけど。
ロバートステムラー・ピノノワール84
カルフォルニアカーネロスのピノ。熟成ワインといえばやっぱりフランスが強いですが、新世界もありだなって思わせてくれた(まぁブラインド対決ではよくアメリカ勝ってますが)。フランスのものよりよりわかりやすい美味しさ。先のグランエシェゾーと比べて、最初から美味しい。トップノートのインパクト。スパイス、シナモン、ベリージャム…芳醇な香。ヴィンテージに比べて若々しい印象。
シャトーオーゾンヌ96
サンテミリオンの銘酒。96はまだ若い。もう少し熟成させた方が美味しい(充分美味しく飲めるけど)。ただ香りは素晴らしい。かなり変化していき、枯れ草、腐葉土系の複雑で奥行きのある香り。香りは、先のラヴィユオーブリオンと並んですごく感動的。またもっと熟成させたものを飲みたい。
シャトークーテ86
ソーテルヌの貴腐。クーテもいいワインだけど、やっぱりイケムには全然及ばない。ちょっと味が軽すぎるかな。少し苦味の効いた甘口。貴腐香はそんなに感じなかった。86のソーテルヌってメチャクチャいい年なんだけどなぁ。いや美味しいんだけどね。期待値を下回る。正直これなら、同じ日に試飲したコンゼルマンのヴィダルアイスワイン08の方が印象的でした(そして値段も半分以下)。
これらのワインはレストランだったりワインバーだったり、自分の働いているお店で飲んだりしていますが、自分のお店で飲んだワインは、最後に残った澱があって飲めない部分を詰めてお菓子に使うソースにしたりしています。これが意外と美味い(若干の味の調整が必要)。澱も飲みにくいものもあれば、そこまで気にならないものも多く、面白いです。