コーヒーを美味しく味わうための要素
コーヒーの味を決める要素として、コーヒー豆の質、焙煎、抽出の3つが上げられ、よくその比重が6:3:1などと言われたりします。
この数字は人によって微妙に変わり、スペシャルティコーヒーを扱っている人は、コーヒー豆の質を重視し、昔ながらのコーヒー屋さんは、焙煎や抽出が大切だと言います。中には焙煎が8割という人もいます。
個人的には割合は、まぁこんなもんだろうって思うのですが、あるお店の店主の方は、豆の質も焙煎も抽出も等しく大切で、差なんてないって言っていました。これはちょっとなるほどなぁって思いましたね。
僕がスペシャルティコーヒーに出会った頃は、豆の質こそ全てくらいに思っちゃっていて、農園名が記されていたり、品種が明確なものだったり、コンテスト入賞豆に惹かれていたり(今も惹かれるけどね)したわけなんですが、ちょっと待てよ、って今は思っています。
同じようなスペシャルティコーヒーばかり扱うお店に自然と足が向いていたので、他の情報が入ってこなく、スペシャルティこそ最高だくらいの気持ちもあったのですが、今は他の色んなところに目がいくようになり、焙煎や抽出の大切さを身にしみて感じるようになりました。
今は生豆がいいから、焙煎が簡単だとか、フレンチプレスで入れれば誰でも美味しいコーヒーが簡単に作れるとか言う人もいますけど、決してそんなことはないっていうのが実感としてあります。
昔は豆が悪かったから、なんとか美味しくしようと焙煎とか抽出にこだわったなんて話もありますけど、実際飲んだら差があるからねぇ。
コーヒーに恐ろしいほど情熱を燃やしちゃう人が多いのは、コーヒーには焙煎という味を決定付ける工程を自分で行えるからで(そこがワインなどとは違う)、だからこそ自家焙煎珈琲店には、お店ごとの明確な個性があり、色んなお店を廻りたいって思わせるわけです(いくらレストランでソムリエの知識がすごくても、飲んだワインが美味しくても、ソムリエに対して感謝の気持ちこそあれ、尊敬するなんてことはあまりないが、美味しいコーヒーを作り出す自家焙煎店の店主は尊敬してしまう)。
同じ豆でもお店ごとに味が違う。豆を買って家で淹れても味が違う。単純に濃さも違うし、焙煎機も抽出器具も違えば、コーヒーに対する考え方だって全然違う。一見するとただローストするだけ、粉に湯をかけるだけなんだけど、ちょっとした違いで本当に味が変わります。
どのやり方が一番とかはなくてどれも正しい。相反する意見はよく聞くけど、どちらも正しい(大概の店主たちは自分以外をあまり認めない傾向にあると思う。それくらいの気持ちがないとお店はやっていけないとも言えるのかな)。
焙煎と抽出を足したら4割。これって大きな数字だと思う。
豆が良くないと美味しいコーヒーは出来ない。これは大前提(焙煎が上手ならそこそこの豆でも美味しく出来るって人もいる)。
でもコーヒーの質って、コンテストで点数の良かったものだけがいいわけじゃないし、点数評価することは、個性を消すことにもつながると思います(ワインでいうロバートパーカーさんみたいなね)。
なにより今までで一番感動したコーヒーはスペシャルティじゃないしね(コーヒー豆の質は、昔の方が良かったとか、昔は良い豆が全部ヨーロッパに取られていたとか、今の方がいいとか色々言われているのも面白い)。
スペシャルティを扱っているけど、敢えて農園名とか書いてない店もあるし、なんにしても情報に左右されることなく、自分で味を判断できないといけないと思っています。
そして今はコーヒー店に行くと、初心者的な質問を良くしています。豆はどう保存するか?どのくらい豆はもつのか?粉の量は?グラインドは?湯の温度は?などなど。色んなやり方があって本当に面白い。