スペシャルティコーヒーはテロワールを表現するのか?

コーヒー

コーヒーのテロワールを考える

コーヒーでも頻繁に使われるテロワールという言葉。昔、テロワールについて記事を書いたことがありますが、ワインやコーヒーに限らず農作物はその土地の個性を写すのは明白です。


※結構言いたいこと言っていますが昔書いた記事。今ではこの記事に対する反論もあるのですが、テロワールを考える上で参考にはなるかなと‥。

テロワールという語が適切かは考えないといけませんが、この記事ではテロワールという言葉を使って話を進めます。

ワインであれば明確に土地の個性と味わいが繋がっていて非常に分かりやすいのですが、個人的な感覚だとコーヒーに関しては全く土地の個性が見えてきません。

もちろん僕がわからないだけで、トップクラスの人たちは理解しているはずですが、調べた限りそういう情報は見当たらず、少なくてもコーヒーマニアくらいの方たちには浸透してないと思います。

良く見かけるのは、一つの国の様々な地域のコーヒーをカッピングして、「それぞれのコーヒーは全然味が違う、テロワールを表現している」みたいな文章で、これは個別の味の違いを見ているだけでテロワールは関係ありません。

テロワールのことを言うなら、同一の地域のコーヒーを比較し、どんな精製でも、焙煎でも、抽出でも感じられ共通の個性を語らないといけません。そしてその共通の要素は隣の産地とは異なった個性であるはず(どんな精製、焙煎は言い過ぎかな?)

それがその土地のテロワールです。

例えばリントン・ニフタはこういうテロワールだから、こういう味のなると明確に言えないとダメ(僕はニフタがどのくらいの広さの地区なのかとかわかってませんけれど)国の特徴、地方の特徴、地区の特徴、クリュの特徴が繋がりつつも異なった特性を示していくはずです。この例で言えばインドネシアの特徴、リントンの特徴、ニフタの特徴、もっと細かい区分はあるのかな?、それが見えないといけません。ニフタのミクロクリマはどういったものなのか?

ワインであれば当然のようにみんなが認識している部分です。ブートナックであれば、土壌が柔らかく平地で、硬さのない横幅のあるワインが生まれます。フランクシュタインであれば花崗岩でふんわり伸びやかなワインが生まれます。

ポイヤックは‥ラロンドは‥シャンベルタンは‥などなど、どこの地域、クリュでもある一定レベル以上の方であればみんな共通の認識を持っています。

国で言えばフランスは群としてはまっすぐ芯がありかっちり、日本はしっとり水平的、アメリアは硬さがなくて果実味豊かで濃い、とかです。その中でもフランスなら、フランスの特性を感じさせつつもボルドーはしっとり、硬さがないとか、シャンパーニュは強いミネラリティと酸、硬質感などと、要素を強めたり弱めたり新たな要素を足したりするなどして、どんどん細分化していくわけです。

テロワールは、土壌、標高、斜度、気候により生まれる個性で、誰がどう造っても感じられます。品種やヴィンテージ、造りの違いで、その個性は強まったり弱まったりしますが、基本的にどんなワインからも感じられるものです。

ワインの場合は土壌や味わいの特徴からクリュを選定していった流れがありますが、コーヒーだと地域名が最初にあって、その地域で栽培されたコーヒー豆にその地域の名前が付けらているだけな気がします。例えばイルガチェフェとグジは味の違いで分けられているわけではなく、もともと違う地域だっただけということ(違っていたらすみません。味も違うと言われてますが)

地域の名前が最初です。とすると隣の地域は名前こそ違いますがテロワールはほぼ同じ可能性があります。地域の名前がテロワールを示すわけではないということです。

ワインでも造り手の個性全開のヴァンナチュールには個性が見えないものもありますし、造り込みすぎて化粧されすぎのワインもありますが、それは例外です。

造り込みすぎと書きましたが、コーヒーに関しても新しい精製方法がどんどん考えられてきて、土地の味より精製方法の味が強い造り込みタイプのコーヒーが増えてきているようにも思います。

そもそもどういう精製が一番土地の個性を表現するのかも考えないといけないかも知れません。個人的にナチュラル精製のコーヒーは好きですが、ナチュラルはナチュラルの味がします。それで良いのか?

アナエロビック・ファーメンテーションやカーボニック・マセレーション、ダブルファーメンテーションなど色々とあり、それぞれ素晴らしい味わいのコーヒーが造られていますが、テロワールの観点からはどうなのでしょうか?

もちろん造りもテロワールの一部として考えることも出来ます。フランスのワインは法律で、ぶどう品種や造り方の規定があります。それも含めてテロワールです。(なのでコーヒー豆の精製に関してはその国の伝統的なやり方がその国らしいと言えるかもしれません。ブラジルならナチュラル、コロンビアならウォッシュド、インドネシアならスマトラ式。もう少し考えていきたいところですが)

コーヒーには法律での縛りはないですよね?(多分。国ごとの方針やクオリティの規格はあっても)縛り付けるのが良いとは思わないですし、自由な発想はアメリカワインなどにもみられる傾向ですが、ある程度の枠組みはあっても良い気もします。

昔のコモディティ時代のコーヒーの方が国の特徴はわかりやすかったと思います。ブラジルはブラジルの味が、コロンビアはコロンビアの味がしました。

それは国ごとの基準と精製方法がある程度決まっていたこともありますし、色んな地域のコーヒー豆が混ざることで全体としての国の個性が浮き彫りになっていたとも言えます。

ワインにおいて協同組合のワインがもっとも土地を感じられるのと同じです(美味しさの話ではないです)作為なくこだわりなくその土地のものを混ぜたものがもっともその土地らしい味です。

昔の方が良かったと言っているわけではありません。今の方がもちろん良いと思っています。

ですが細かく農園ごと、区画ごとに分けていくことで土地は見えにくくなったことは確かです(ワインも区画を分けすぎる傾向にある)

コーヒー豆の情報を見ると農園名、標高、品種、精製が書いてあることが多いです。土壌や斜度、細かな気候の話などはわからないですし、ヴィンテージの情報もありません(今年はどういう天候だったからこういう味になったという話がない)

もちろんトップの方たちの間ではあるのだと思います。

土壌は大体、火山性の土壌なのでしょうか?(全体的にそんな感じの味です)そうだとしても、火山性の土壌の中でも色々とあるはずです。

質の高いコーヒー豆で語られるのは熟度の話が多く、丁寧に完熟したコーヒー豆だけを使っているという話を良く聞きます。

これは素晴らしいことですが、必ずしも熟度を揃えることがいいとは限りません。ワインでも熟度を揃えすぎると深みのない平坦なものが出来ます。

一昔前のワイン業界は技術が進み、熟度を揃えたワインをみんなが造り始めました。その結果、単調なワインが増え、今は少し未熟なぶどうを加えるなど、様々なぶどうを使うことで複雑さを生んでいます。

様々な品種が混植されている産地などは自然に熟度にバラツキが出てきます。コーヒーで言えばエチオピアがまさにそうです。何かわからない品種が混ざった状態から生まれる独特の個性。イエメンもそうですね、

昔、イエメンの個性的で美味しいコーヒーをスペシャルティコーヒーの商社か何かに売り込みに行ったら、見た目が綺麗ではない、バラバラでダメと言われたそうです。

今の世界的な基準からするとそうなんでしょうね。でもこれはもったいないことだと思います。

ここ10年くらいのコーヒーは、90年代くらいに流行ったワインの姿とダブります。評論家の力が強く、高い点数を付けてもらうための、評論家に合わせたスタイル、濃くてわかりやすくてハッキリしたワインを多くの方々が造っていました。それではまったくテロワールが見えないと、今はその反省で抽出も弱くして、余計な化粧のしない自然なテロワールが見えるワインが増えるようになりました。

今人気のコーヒーも点数に縛られた分かりやすい、フレーバーがハッキリしたものですね。もちろん、そう言ったワインやコーヒーが悪いわけではありません(味わい的には僕も大好きです)土地が見えないのと、そういうものしか評価されないのが危険なだけです。

シングルオリジン全盛の時代ですが、これからは生豆をブレンドしてその土地が見えるコーヒー豆にすることも必要なのかもしれません。

それはナインティプラスのような特徴的な目指す香味が最初にあって造りこむのではなく、あくまでテロワールが見えるブレンドです。

今のスペシャルティコーヒーが良いのはトレーサビリティがしっかりしていることです。出目はわからないけど、その国らしかった昔のコーヒーから一歩進んだ、どこのなのかわかり、かつその土地が見えるブレンドを考えていくのが良い気がします。

品種も難しいですね。ゲイシャやシドラなど一部以外、個性はわかりません(みんな飲んでこれはティピカとかわかるのか?)コーヒー豆の見た目や病気への耐性などの情報は見かけますが味わいの特徴は結構いい加減な感じがします。質の良いカップになる、ならない、みたいな情報はありますが、品種の個性を明確に示したものは見たことがありません。

せいぜいエルインヘルトのパカマラはこんな感じ、という個別の話がわかる程度な気がします。

それと、生産の最終工程が消費国で行われるコーヒーは人の個性が出過ぎる傾向にあります。それを楽しみにコーヒー屋巡りをしていたわけですが、土地の味を考える上では邪魔な要素です。

生産者より焙煎したところの味を強く感じるってすごいことですね(逆に今のトップクラスの生産者は様々な精製技術を使って独自の個性を出すようになっていますが、どちらにしても土地は見えない)

テロワールを最も素直に表現する抽出法も考えましたが、長くなったのでこの辺にしときます。あくまで作為なく負荷をかけずに、です。

土地の個性なんてどうでも良い、美味ければ良いじゃん!みたいな感じでも良いと思います。ワインでもテロワールを意識していないナチュールだけのお店はたくさんあります。

でもスペシャルティコーヒーは、生産地の特徴的な風味特性が〜みたいなことが定義されてますからね。そうなると生産地の特徴を表現出来ないならスペシャルティコーヒーではないことになってしまいます(素晴らしい風味とか言うだけではダメ。その個性が土地の個性だと説明できないといけない)

さらーっと書いたので、文章の流れや内容など後で修正すると思います。僕はコーヒーの素人なので、お前がわかってないだけと言われたらそれまでです。もう少し理解できるように勉強します(ワインの片手間ではありますが)

コーヒーは土地の個性を表現します。それは絶対だと思っています。少しづつわかるようになりたいですね(コーヒーは土地の個性以外の味が加わるポイントが多すぎて難しいですね、ホント‥)