ジャニス・ウォンとエスキス・サンク〜JANICE WONG & ESqUISSE CINq〜
また少し古い話です。ジャニス・ウォンとエスキス・サンク。どちらも閉店してしまったお店ですが、お菓子の味が抜群でした。
この写真は昔、エスキスに行った時のデセールです。
ジャニス・ウォン〜〜JANICE WONG〜
2016年、新宿のニュウマン〜NEWoMan〜にジャニス・ウォンが出来て、すぐに行った友人の話が非常に興味深かったので、後を追うようの来店。
その時期はアシェットデセールの良店がいくつかオープンしたこともあって、個人的なお菓子ブームでした。
ジャニス・ウォンは、シンガポール出身のパティシエで、シンガポールでのお店は2am:dessertbarと言います。
日本では自身の名前を冠したジャニス・ウォンという名前で営業。どちらも同じくユニークで独創的なアシェット・デセールとお酒のマリアージュを楽しむお店です。
2am:dessertbarのお酒は誰が考えたのでしょうか?少なくとも日本のジャニス・ウォンは、ジャニスさん本人が考えたのではなく、有名なソムリエや働いているバーテンダーさんが考えているようです。
結果として本当に素晴らしいマリアージュを楽しめるお店だったのですが(オープンしてすぐしか行ってないので、その後どう変わっていったかはわかりません。行きたかったのですがその前に閉店してしまいました)、お菓子単体では奇抜で面白いとは言え、完成されているとは言えず、お酒と合わせることで感動的な香味を生む仕上がりでした。
ジャニスさんがお酒も考えてるわけではないとすると、お菓子自体の味の構成は不思議な気が‥。一緒に意見を出しながら考えたのでしょうか?(そうですよね?)お酒が飲めない人が言ったら、よくわからない気持ちになるかもしれません。
ジャニス・ウォンのアシェット・デセールは、アート作品のようと言われますが、本人がデセールを作ってくれるわけではないので(途中お店の中でジャニスさんがいたのでタイミングが合えば作ってもらえた)、上手な贋作ですね。
それでも完成度高いですが、ジャニスさんが仕上げたお菓子も食べてみたかったです(仕込みなどもどの程度手伝っていたのでしょうね。ルセット提供だけかな?)。
きっとまた違った印象を受けたことでしょう(アートを謳うなら大切な部分)。ジャニスさんはオープン時は来日していましたが、その後はシンガポールに戻ってます。何度か来日していたようなのでその時に行きたかったかも?
アートでは全くありませんが、僕はお店でワインを注ぐのも基本的に自分でやっています。別な人だと本当に印象が変わってしまうので。料理もお菓子もワインもコーヒーも本当にちょっとしたことで味が変わってしまいます。
何人かで分業して一つのお菓子を作るタイプのお店だと(ほとんどそうだと思いますが)、一体感が出にくいです。芯もブレる。
内装は割とシックな感じで、シンガポールのお店の方は内装からアートを感じさせるように見えます(もちろん行ったことはありませんが)。
ジャニス・ウォンのペアリング
デセールは単品もありますが、コースがお得だと思います。5皿と3皿のコースがあります。確かコースにしかないお菓子もあったはず。デセールコースにお酒のペアリングコースをつけるのが一番良い。
ペアリングさせるお酒は、オープン時点では、有名なソムリエの大越基裕さんが考えたと聞きました。聞いただけなので確かな情報ではありませんが、ペアリングコースを味わってみて、このペアリングを考えたとしたら、本当に凄い方なんだなぁと。。
実際にお酒を提供するバーテンダーさんは、麻布十番のミクソロジー・バー・ソース2102にいた大渕さんでした。あれ?見たことある方がいると驚きました(何度かミクソロジー・バー・ソース2102には行ったので、大渕さんも顔は見たことあるとわかったはず)。
大渕さんは今はスターバックス・リザーブ・ロースタリーのアリビアーモ・バーにいるみたいです。先日リザーブ・ロースタリー に行った時はいませんでしたが。
味噌マスタードや、ポップコーン、チョコレートH2Oなんかは名前も印象的ですが、味わいも良かったです。
味噌マスタード
赤味噌のアイス、キャラメル味噌ババロア、マスタードメレンゲなどを合わせたお菓子。味噌、マスタード、キャラメルなどの味は意外なほど合う。
寺田本家・花啓くを合わせますが、寺田本家のお酒は何を飲んでも個性的でヴァンナチュールにも通じる印象ですが、一緒にいただくと意外なほど良いですね。人によってはお酒の味自体がダメという可能性もありますが。
ポップコーン
柚子とポップコーンのパルフェ、塩キャラメルソース、ポップコーンの粉末。甘いポップコーンと塩気のあるポップコーン二つの味がする。
鶴梅ゆず&グレイズースウォッカを合わせますが、見事な調和です。
チョコレートH20
チョコレートと水を合わせ空気を含ませたもの、キャラメルのパルフェなど。ジャニスウォンに行く少し前に、来栖けいさんのお店ボニュの水チョコを食べていたので、同じような傾向。チョコレート自体の完成度はボニュの方が上で非常にクリアでスッキリまっすぐの味わいでした。
ですが、ジャニスウォンのチョコレートH2Oも組み合わせのバランスが良く気に入った一品。
ペアリングは、小笠原みりんの「一子相傳」、バーボンのエライジャ・クレイグ、レモンピールを合わせたものと。これも個性的で複雑な味わいですが、チョコレートの風味が膨らみます。
味わいはどのお菓子もかなり複雑。少し惜しいなと思うものもありましたが、ほんのちょっとした部分で印象は変わりますから、作った人の問題の可能性はあります。
デセールのコースはやっぱり食べ進めると甘さが気になってきますね。お酒も甘みが強いものが多く、だから合う部分もありますが、逃げ場はない気もします。昔行って感動的だったリベルターブル(ランベリーに隣接していた頃)のデセールコース(肉とかも出るけど)を食べた時も同じような印象を少し持ちましたし(リベルターブルは移転して完全なお菓子屋になっているのでもうコースは食べれません)。
ジャニスウォンには日本茶のペアリングもあり、お酒が苦手な嫁はティーペアリングを頼んで、僕もお茶を飲んでいたので最後まで美味しく食べれたのかもしれません。お茶は八女の玄米茶や、宮崎県五ヶ瀬の釜炒り煎茶など、これまた結構良かったです。
ジャニス・ウォンは契約が切れてお店を閉めたようですが、日本から撤退したわけではないようです。また違う形でオープンするのだと思いますので、それを楽しみにしています。
エスキス・サンク〜ESqUISSE CINq〜
銀座にあるフレンチレストラン、エスキスのお菓子が楽しめるお店のエスキス・サンク。有名なエスキスのパティシエ、成田さんの作る(考えた)デセールが食べることが出来るお店でした。
昔、初めてエスキスに行った時のデセールが感動的だったのですが、エスキス・サンクでもそれとほぼ同じメニューが食べれました。
エスキス・サンクは、東急プラザ銀座の4階通路に普通にあり、ただのカフェのように見えます。ふらっと入っちゃいそうなお店なのに、非常にお高いお菓子しかないという凄さ(たしか最低料金設定があったはず)。500円くらいでお茶しようと入るお客さんがたくさんいたはず‥。
絶対長く続かないだろうなと思っていましたが、やはり閉店してしまいました。なぜこんなお店にしちゃったんでしょうね。
とはいえ頂けるアシェットデセールはやはりクオリティ高かったですね。
エスキスで食べたものと、ほぼ同じものが出てきたので、初めての時の感動はありませんが、改めて食べても美味しい。
シュークルという飴細工のきれいな金色の玉の中のムースやソルベなどが入ったお菓子です(この記事の最初の画像と同じもの。飴細工の中身は違いました)。
キャヴィア添えのパンケーキなんかもあり、食べてみたかったですが(キャヴィアはいらないですが)、かなり高額だったので、また今度と思っていたら閉店してしまいました。
ワインセットみたいのもありましたが、大手メゾンのシャンパーニュなどで惹かれる感じはなかったかな?
非常にもったいなかったお店ですね。場所、値段などをもう少し考えたら、すごく人気になってもおかしくないと思いましたが、全てがチグハグでした。残念‥。
白金のティルプスのパティシエ中村樹里子さんが一年限定で、ランチを閉めたティルプスで営業していたキリコ・ナカムラ〜KIRIKO NAKAMURA〜もその当時、気になっていて行きたかったですが、気づいたら終わっていました(2015〜2016にかけてやっていた)。
デザート・テイスティング・コースのお店で、非常に人気だったみたいですね。
2016年あたりはアシェットデセールやデセールコースのお店に注目が集まっていたように思いますが、今はあまり聞かない気がします。新しいお店はあるのでしょうか?(お菓子業界も今や疎いので知らないだけであるのかな?)